安全性について

鰹節中のPAHs(多環芳香族炭化水素類)について

 鰹節は製造段階で魚を燻すことから、煙の成分であるPAHsが約25μg/kg(*1)含まれています。このPAHsは発がん性があるため、EUではPAHsの主体であるベンゾピレン(BaP)の含有量を5.0μg/kgとしております。

 EUの基準値の対象食品はハムやソーセージ、スモークサーモン等の燻製の肉・魚製品です。それらの食品とでは食べ方や食べる量が大きく違うため、摂取量では鰹節はハム・ソーセージ、スモークサーモン等の1/70(*2)以下と想定されます。摂取量に見合った基準値とするなら、EU基準値5.0μg/kgの70倍である140μg/kgとなり、EUの基準値を大きく下回ります。

 なお、環境省健康リスクの初期評価結果ではBaPの無毒性量(*3)は210μg/kg・日とされています。また、鰹節からの1日一人当たりのBaP摂取量は農林水産省統計等から0.00073μg/kg・日(*4であります。これは、無毒性量の1/28万(*5)であり、リスクは非常に低いです。

(*1) 農林水産省の有害物質含有実態調査(H23~24年度)から。
(*2)日本人一人当たりの鰹節の年間消費量0.55kg
・70,757t(*a)/127.5百万人(*b)≒0.55kg/人・年
・EUの燻製製品の消費量40kg/人・年(*c)
・0.55kg/人・年÷40kg/人・年≒1/70
 *a:(農林水産省「農林水産統計」)
 *b:人口127.5百万人(H24)(総務省「人口の推移」)
 *c:インターネットデータから
(*3)毒性試験において、有毒性が認められなかった最大投与量のことです。その中で、さまざまな動物試験における無毒性量の中で最も小さい値をその物質の無毒性量としています。
(*4)年間1人当りの鰹節消費量×鰹節の平均BaP量=鰹節からの年間1人当りのBaP量
0.55 kg/人・年 × 29μg/kg ≒ 16 μg人・年
鰹節からの年間1人当りのBaP量÷平均体重・年=鰹節からの1日1人当りBaP摂取量
16 μg人・年 ÷60kg・365 ≒0.00073μg /kg日
(*5)BaPの無毒性評価量÷鰹節からの1日1人当りBaP摂取量=暴露マージン
0.21mg/kg日 ÷ 0.00073μg/kg日 ≒287,000




鰹節に使われるカビについて

 カビのすべてがカビ毒を作るのではありません。ごく一部の特殊な種類にのみ、カビ毒生産性が認められているだけです。
 鰹節のカビ付けに使用している鰹節カビは、味噌や醤油などの発酵食品に使われるこうじカビと同様、安全なものです。